エヴァのテーマ
こんにちは
今回はエヴァのテーマについて
前回まで書いてきたガンダムのテーマは「わかりあえない人類」ですが、ガンダムのテーマが外向きなものであるのに対してエヴァンゲリオンは内省的なものであるように思えます。エヴァには「人間誰しもが抱えている心の葛藤や心情の変化」というテーマが描かれているのではないでしょうか
主人公のシンジが敵対する相手は使徒。この使徒はほとんどが言語を持たず、またその正体も不明です。ゆえに戦闘における敵との対話はカヲルを除いては存在しません。それよりも戦闘を通して変化がフォーカスされるのは周囲との関係や心の持ち方です。
エヴァにおいて心情の変化が明確に表れているのはレイだと思います。当初は無口で感情も持ち合わせていないかのように表情一つ変えない女性でしたが、作品を通して周囲、特にシンジとの交流を通して人間らしさが見えてきます。あるシーンではレイがシンジに「雑巾の絞り方がお母さんみたい」と言われて顔を赤らめることがありました。レイの心の葛藤はあまりはっきりとは描かれなかったものの、人との交流を通した変化というのは目に見えるものがありました。
アスカにおいてはレイとは違うベクトルから描かれています。家族の自殺に起因した満たされない承認欲求。その行き先を常に探していたように思えます。梶にあこがれてみたり、時にはシンジを無機質に求めてみたり。強気な裏側に心の拠り所を探す少女してアスカは物語に存在しています。
心の葛藤や変化というのは少年少女を中心に描かれがちですが、ミサトのような大人にも焦点を置かれて描かれているのがこの作品の特徴です。指揮官としての立場、1人の女性としての立場、様々な側面を持ったミサトが人前では気丈に振る舞いながらも一方では心の弱さがある。そんな心の弱さに耐えられず、時には男に体を許してしまう。人間の持つ脆さを大人にも排除していない。そのようなところがエヴァの魅力であり、テーマが発現されているところでもあります。
それぞれの人間が持つ個性や違いとその裏側にあるそれぞれの心の動き、関係の変化。ロボットアニメではありながら人間の心にフォーカスされ描かれていた稀有な作品だと感じます。
いかがでしょうか。ガンダムとエヴァという2つのロボットアニメが抱えるテーマというのは全く異なるものがあるとわかっていただけたら幸いです。もちろん全く共通する部分がないとは思いませんけどね。
浅い考察になりますがここまで。
次回からはガンダムを離れて他のアニメに触れていきたいと思います。
それでは〜